PagePilot Viewer で使えるプレーン テキスト、Markdown、ChordPro、Fumen の違いと、向いている内容を説明します。
テキストページ形式の選び方
歌詞だけを読むのか、歌詞に合わせてコードを弾くのか、小節と反復を追うのかで形式を選びます。プレーン テキスト、Markdown、ChordPro、Fumen の 4 形式があり、文字の入力から楽譜を作れます。
すでにある PDF や写真の楽譜を使う場合は、これらの記法へ書き直す必要はありません。そのまま 楽譜ライブラリ へ取り込みます。
まず選ぶなら
| 形式 | 向いている内容 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| プレーン テキスト | 装飾のいらない歌詞、メモ、進行表 | 打った文字がそのまま出ます |
| Markdown | 見出しや箇条書きで整理した歌詞、リハーサルメモ、MC、持ち物表 | # 見出し - 箇条書き **太字** |
| ChordPro | 歌詞にコードを対応させた弾き語り・バンド用のコード譜 | [C]あの日の[Am]空を |
| Fumen | 小節、リズム、反復、曲順記号を含むコードチャート | 小節線や反復記号まで文字で書きます |
迷ったら、実際に使う一節か 4 小節だけを書き、テキストページ編集 のプレビューで確認します。歌詞とコードの位置が目的に合うか、小節の区切りが必要かを見て選びます。形式の変更は本文を別の記法へ自動で書き直す操作ではありません。既存の原稿で試す場合は、先に複製して内容を残します。
プレーン テキスト
プレーン テキストは、記法を使わずに文字と改行だけで作る最も単純な形式です。
歌詞だけのページ、短い演奏メモ、曲間の進行表など、見出しの大きさやコード位置を特別に表現する必要がない内容に向きます。記法を覚えずに書け、入力した記号が別の意味に解釈されないことが利点です。
Markdown
Markdown は、文章を見出しや箇条書きで整理し、必要な部分を強調したいときに向きます。歌詞だけでなく、リハーサル時の注意、MC、舞台進行、チェックリストなど、種類の異なる情報を 1 ページにまとめやすい形式です。
PagePilot Viewer では、見出し、箇条書き、番号付きリスト、チェックリスト、太字、斜体、取り消し線、引用、表などを表示できます。GitHub Flavored Markdown(GFM)を基礎とし、独自の下線と色指定も加えています。リンクは文字として表示されますが、楽譜表示やプレビューからタップして外部ページを開く用途には対応していません。
ChordPro
ChordPro は、[C] のようなコードを歌詞中の対応位置へ書き、表示時にコードを歌詞の上へ配置する形式です。歌詞を中心に、演奏に必要なコードと曲情報を一緒に管理したいときに向きます。
PagePilot Viewer では、タイトル/サブタイトル、キー、BPM/テンポ、拍子、カポ、コメント、Verse/Chorus/Bridge/Tab/Grid、改ページ、本文中の移調指定を扱えます。コードをまとめて移調する機能と、PagePilot/ChordWiki の表示プリセットも利用できます。弾き語り、歌の伴奏、歌詞を追いながら演奏するバンド曲などでは、歌詞とコードの対応が分かりやすく、キー変更にも追従しやすいことが利点です。
PagePilot Viewer が対応するのは ChordPro 仕様の一部です。対応範囲に含まれないディレクティブはコメントとして表示されます。任意のセクション名やセクションの入れ子には対応していません。また、ChordWiki は別のテキスト形式ではなく、ChordPro を表示するためのプリセットです。
Fumen
Fumen は、コードだけでなく、小節の区切り、音価、休符、反復、曲順記号まで文字で記述できるコードチャート形式です。歌詞を読むことよりも、バンドやセッションで曲の進行を共有することを重視する場合に向きます。
PagePilot Viewer は、同梱する Fumen v1.3.3 の公開記法に対応しています。コード、小節線、拍子、音価、休符、シンコペーション、反復括弧、シミーレ、セーニョ、コーダ、D.S./D.C. などを 1 つの原稿に記述できます。たとえば「4 小節の進行を繰り返し、2 回目だけ終わり方を変え、D.S. でセーニョへ戻る」といった演奏上の経路も表せます。記法の詳細は Fumen 公式ドキュメント と 公式チートシート で確認できます。
楽譜表示でメトロノームをオンにすると、対応する現在小節を細い枠で確認できます。リピートや D.S./D.C. も演奏順に展開しますが、安全に行き先を決められない複雑な記法では枠だけを表示せず、 Fumen の楽譜そのものは表示します。
書き始めるときは、公式サイトのコピーして試せるサンプルを使えます。4小節のコード進行から、A・B の構成と繰り返しを加えた例へ進めます。小節や行の組み立ては公式の Structure、コード記号は Chordsで調べられます。Playgroundでは、ブラウザーで公式の例を編集して試せます。
曲全体の移調には Fumen 公式の %KEY と %TRANSPOSE を使います。コード本文は原調のまま保ち、プレビュー、楽譜表示、PDF 書き出しに移調後のコードを反映します。コード記号ではない五線上の明示音高は移調されないため、該当する原稿では確認警告を表示します。詳しくは 移調 を参照してください。
Fumen は旋律、五線、細かなアーティキュレーションやリズムを含む一般的な楽譜・リズム譜そのものを記述する形式ではありません。そのような情報が必要な場合は、PDF、画像、MusicXML から作成した楽譜を使います。歌詞とコードの対応が中心なら ChordPro の方が簡潔です。
Fumen の「表示を調整」では、フォントサイズ、行間、ページ余白を変えられません。用紙は A4・1 ページずつ・白背景です。演奏する距離からプレビューを読んで、必要な小節が見分けられるか確認してください。コードの記号やテンションの文字を読みやすくする場合は、次の %PARAM を使います。
コードの表示と小節番号を変える
リハーサルで「9 小節目から」と指示するときは小節番号、見慣れた記号へそろえたいときはコード表記を変えられます。これらは PagePilot Viewer が対応する Fumen v1.3.3 の拡張パッチによる機能です。原稿の先頭に %PARAM を書き、プレビューで確認します。
%PARAM={"minor_label":"m","major_label":"M","diminished_label":"dim","half_diminished_label":"m7-5","augmented_label":"aug","chord_suffix_style":"inline"}
| Am7(#11)/C | AM7/E | Cdim7 | Cm7-5 | Caug |
| 項目 | 指定できる内容 | 省略したとき |
|---|---|---|
minor_label |
マイナーの表示文字。例:"m" |
"–"(エンダッシュ) |
major_label |
明示的なメジャーの表示文字。例:"M" |
"Δ"(ギリシャ文字のデルタ) |
diminished_label |
ディミニッシュの表示文字。例:"dim" |
"O"(大文字の O) |
half_diminished_label |
m7-5 全体の表示文字。例:"m7-5" |
"Ø" |
augmented_label |
オーギュメントの表示文字。例:"aug" |
"+" |
chord_suffix_style |
"compact" は従来の小さな上下配置、"inline" は通常サイズ・同じ高さ |
"compact" |
inline はテンション、変化音、括弧、右側の分数コードにも適用されます。既存の on_bass_style を "below" にしたベース音は下側に残ります。記号だけを変えたい場合は chord_suffix_style を "compact" にします。入力の書き方は変わらず、C+ に "aug" を指定すると表示は Caug になります。
%PARAM={"bar_number":"on"} を追加すると、各段の先頭に演奏順の小節番号を表示します。bar_start で開始番号を変えられ、弱起を 0 小節として数えるなら {"bar_number":"on","bar_start":0} とします。最初の小節で有効な設定だけを使い、繰り返しの小節は 1,9 のように併記します。
入力アシストの「定型句」→「表示設定・コード表記」→「コード表記の例」から、基本の %PARAM 例を追加できます。最後の行頭 % 設定行の次へ追加され、設定行がなければ先頭に空行付きで追加されます。カーソルは追加行の末尾へ移ります。「チートシート」では書式例を読むだけで、原稿は変わりません。プラグインの追加は不要です。すでに %PARAM={...} があれば、定型句で重ねて追加せず、その JSON オブジェクトへ必要な項目を追加します。元に戻すには、追加した項目を削除するか表の既定値へ戻します。
変わるのは表示であり、コード本文の書き方や音楽上の意味は変わりません。プレビュー、楽譜表示、PDF 書き出しに反映されます。PagePilot Viewer の Fumen PDF はページ画像をまとめる方式です。
これらの項目は Fumen 本家の標準パラメーターではなく、独立配布の拡張パッチによるものです。未対応のツールでは指定が無視され、従来の表記になることがあります。本家の Playground で同じ見た目になるとは限りません。
パソコンで作って、PagePilot Viewer で使う
VS Code 用の Fumen Language Support は、PagePilot Viewer と同じ開発者 Katsushi Kawato が提供する拡張です。構文の色分け、設定・記号の補完、ひな形、オフラインのライブプレビュー、日英の記法ガイドを使って .fumen 原稿を作れます。上のコード表示と小節番号の項目にも対応しています。
VS Code の拡張機能で @id:kawato3.fumen-language-support を検索して導入し、保存した .fumen ファイルをタブレットへ渡して PagePilot Viewer に取り込みます。取り込み後のファイルは自動同期ではありません。用紙設定などが異なることがあるため、演奏前に PagePilot Viewer でもプレビューを確認してください。
拡張は任意で、PagePilot Viewer 内だけでも原稿を作成・編集できます。Fumen 本家の公式製品ではありません。拡張の使い方も参照できます。
日本語と欧文以外の文字
本文をどの書体で描くかは、形式によって変わります。
| 形式 | 使う書体 |
|---|---|
| ChordPro | アプリが同梱する等幅書体 PlemolJP HS |
| Fumen | 端末が持つ書体 |
| プレーン テキスト、Markdown | 端末が持つ書体 |
同梱の PlemolJP HS は日本語と欧文をそろえて持ちますが、ハングル、簡体字、タイ文字、デーバナーガリー、アラビア文字、ヘブライ文字は持ちません。ChordPro でこれらの文字を書くと、その部分だけ端末が持つ別の書体で表示されます。文字が消えるわけではありませんが、書体が混ざり、等幅の桁もそろわなくなります。
MusicXML から作る楽譜と注釈のテキスト ラベルは、これらの書字系も同梱の書体で描きます。ChordPro が持たないのは、本文に等幅書体を使うためです。
端末の書体を使う形式(Fumen、プレーン テキスト、Markdown)は、端末が持っている文字なら表示できます。ただし書体は端末ごとに違うため、同じ原稿でも iPad と Android で行の折り返しやページの区切りが変わることがあります。
- ChordPro で本文の書体をそろえたい場合は、その部分を欧文表記にする方法があります。演奏前には、実際に使う端末でも折り返しとページの区切りを確認します。
- 母語のまま使いたい場合は、どの言語で使いたいかを開発者へお知らせください。取り込める書体を増やす検討に使います。
MusicXML から作る楽譜の文字の対応範囲は、ライブラリ で確認できます。
選んだ形式でうまく表示されないとき
[C] のようなコードが文字のまま出る場合は、形式が ChordPro かを確認します。小節線や反復の記号を使うなら Fumen、見出しや箇条書きを読みたいなら Markdown を選びます。
形式は原稿の読み方を決めるため、切り替えただけでほかの形式の記法が正しく変換されるわけではありません。変えたあとに読みにくくなった場合は前の形式へ戻し、原稿と形式を合わせます。変更の影響と操作は テキストページ編集 を参照してください。